航空レーザ測量

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すこし専門的な航空レーザ測量の解説

すこし専門的な航空レーザ測量の解説

このページは、航空レーザ測量を詳しく知りたい方、航空レーザ測量を行いたいと考えている方への解説です。

  1. 航空レーザ測量とは
  2. 航空レーザ測量の仕組み
  3. レーザ光の性質と得られるデータ
  4. DSMとDEM
  5. 航空レーザ測量を計画する
    1. 計画のポイント
    2. 作業規程
    3. 作業の工程
    4. 点検のポイント
    5. 公共測量の手続き

1.航空レーザ測量とは

航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザ測距装置等を使用して地表を水平方向の座標(x,y)、高さ(z)の三次元で計測する方法です。



2.航空レーザ測量の仕組み

航空レーザ測量は「レーザ測距・GPS・IMU」という3つの技術の合体から実現しています。

航空レーザ測量の仕組み
1)レーザ測距装置は、レーザ光を発射して地表から反射して戻ってくる時間差を調べて距離を決定する装置です。図のように進行方向に対し横方向にスキャンさせて高さを調べるので、「レーザスキャナ」とも呼ばれます。

飛行高度2000mでスキャン角度が左右の合計20度で計測する場合、地上を幅約700mで一度に測ることができます。また最新の機種ではレーザ光を1秒間に50,000~100,000回発射が可能になっており、地表で50~60cm間隔、またはそれ以下の間隔でも計測が可能になっています。

ただし、レーザ計測点の配置はランダムであり、原則として任意の位置を計測することはできません。 また、計測点のレーザスポットは点ではなく円形です。この円の大きさは計測高度1,000mで直径が約30cm、計測高度2,000mで約60cmになります。高さのデータはそのような条件下で取得されています。

なお、航空レーザ測距装置にはカメラがついているため地表の画像も同時に取得することが可能になっています。


2)GPS受信機は、航空機の位置(x,y,z)を知るための装置です。一般に地上の電子基準点を利用することにより「連続キネマティック測量」を実現し、地上の測量と同様に高精度な位置測定を可能にしています。

3)IMU(慣性計測装置)は、いわゆるジャイロを改良したもので、飛行機の姿勢や加速度を測ることができます。この測定値によりレーザ光の発射された方向を正しく補正することが可能になります。

これら、「レーザ測距・GPS・IMU」の3つの技術で、地表まで達したレーザ光(「レーザ計測点」という)の位置(x,y)と高さ(z)を正確に算出することが可能となります。レーザ計測点の高さは1cm単位で記録されますが、高さの精度は±15cm程度です。しかし、航空写真測量に比べ格段に高い精度といえます。なお、水平方向の位置精度は高さの精度よりも下回っています。



3.レーザ光の性質と得られるデータ

フット・プリントの表示

上の画像は、「フット・プリント」などと呼ばれ、航空写真上にレーザ計測点の位置を赤で示したもので、無数の点として表示されています。

このフット・プリントをよく見ると、赤のレーザ計測点の少ない部分(画像の左下)を見つけることができます。この部分は青い屋根のようです。航空レーザ測量に使われるレーザ光は、このような青や黒い部分が苦手で、反射して戻ってこない場合があるのです。このような状況を「欠測」と呼んでいます。

この外、航空レーザ測量のレーザ光が苦手なものには、静水面があります。しかし、少しでも波があればレーザ光は戻ってくる場合が多いようです。

もう少し詳しく、レーザ計測で得られるデータについて説明しましょう。

レーザ光の模式図

上の模式図を見て下さい。レーザ光は、樹木や地表面で反射します。レーザスポットは点ではなく円形の面で、樹冠にあたって反射するだけでなく色々なところで反射し最後に地表で反射します。受信した反射信号の波形を模式図に示しました。樹木等の最初に反射してくる光をファーストパルス、地表面で最後に反射するものをラストパルス、その間で反射するものをアザーパルスといい、それぞれの高さを検出できます。ただし、照葉樹のように葉が密に茂るところでは、レーザ光が地上にまで達しないことがあります。この場合は地面の高さのデータは得られません。



4.DSMとDEM

航空レーザ測量のレーザ光は、上のフット・プリントにでも見られるように地面の上ばかりでなく、建物や樹木の上で反射して戻ってきます。このため、航空レーザ測量で直接得られる高さのデータは、建物や樹木の高さを含んでいます。このような高さのデータより作成した地表モデルを数値表層モデル、通称DSM(Digital Surface Model)といいます。

これに対して、一般の地図のように地表の高さを示したい場合は、これらの建物や樹木の高さを取り除くことが必要です。この建物や樹木の高さを取り除く作業を「フィルタリング」と呼んでいます。

フィルタリングを行って得た地表面だけの高さのデータで作る地表モデルを数値標高モデル、通称DEM(Digital Elevation Model)といいます。

フィルタリングによりDSMからDEMへ加工するイメージをアニメで示しました。こちらをご覧ください。

「数値地図5mメッシュ(標高)」は、DEMのデータです。「数値地図5mメッシュ(標高)」の作成作業におけるフィルタリング項目は、こちらをご覧ください。

下の図のようにDSMやDEMを陰影段彩図として表現すると真上から見た図でも立体的に見ることができます。陰影段彩図は高さのデータに対し、高いところを赤、低いところを青として、その間を橙、黄、黄緑、緑、青緑と連続的に表現し、さらに影をつけたものです。

DSMの陰影段彩図 DEMの陰影段彩図
DSMとDEMの陰影段彩図


5.航空レーザ測量を計画する

この項では、航空レーザ測量を公共測量として実施する場合のポイントをお話しします。



(1)計画のポイント

航空レーザ測量は、航空機と高価な機器を使用し、フィルタリング処理などに多くの時間を要するなど、比較的高価な測量作業です。計画にあたっては、目的に沿うよう十分な点検が必要となります。

主な点検ポイントは次のとおりです。

  1. 「範囲」・・・測量が必要な範囲を点検します。また、対象範囲が既に航空レーザ測量を実施されていないかTECRIS等で確認します。既に実施されていた場合は、メッシュの大きさや実施時期などの諸要素を確認し、利用を検討します。
  2. 「メッシュの大きさ」・・・パソコンで解析などを行うためには、メッシュデータの方が便利です。最終的な利用の目的に応じメッシュの大きさ(0.5m、1m、2m、5m、10mなど)を決定します。一般にメッシュの大きさにより費用は大変異なります。
  3. 「DSMのデータかDEMのデータか?または両方必要か?」・・・DSMのデータは建物等の高さを含んでいます。DEMのデータ作りにはフィルタリングの工程を実施するため、この分の費用が必要になります。
  4. 「写真データは必要か?」・・・DEMのデータ作成ではフィルタリング作業を実施するにあたり写真データを作成して使用します。この写真データがあると、パソコン上で視覚的に任意の場所の高さを確認することができます(参考:[表示ソフト]による表示例)。
  5. 「後続作業(等高線発生、画像作成など)を行うか?」・・・期待する成果を満足する仕様(メッシュの大きさ等)になっているか確認します。
  6. 「実施時期」・・・航空レーザ計測は強風、降雨等の悪天候では実施できないばかりか、雲もレーザ光を乱す原因となります。晴天の多い時期を選択することがベストです。また樹木の多い地域のDEMデータを取得する場合は、「3.レーザ光の性質と得られるデータ」で解説したように葉の密度も考慮すべきです。この場合、落葉期が観測の好期になります。

(2)作業規程

公共測量の実施に際しては、作業規程が必要になります。国土地理院では、「作業規程の準則」を公表しており、これを準用することができます。(「航空レーザ測量による数値標高モデル(DEM)作成マニュアル(案)」は、平成20年4月1日に「作業規程の準則」に統合されました)



(3)作業の工程
計画準備

目的に合わせて使用する航空レーザ機器、計測点の取得密度及びスキャン角度を決めます。これらに合わせて、飛行高度、飛行速度、コース数、コース間隔、及びコース間の重なり具合であるサイドラップ等をきめます。

GPS基準局の設置

航空機の正確な位置測定を行うための連続キネマティック測量に必要なGPS基準局を設けます。GPS基準局には、電子基準点も使用できます。

航空レーザ計測

航空機によるレーザ計測を行います。同時にGPS基準局で観測を行います。

データ処理

コンピュータにより不要なノイズを取り除き、各計測点の座標を計算します。これで数値表層モデル(DSM)のデータができます。

データ加工

樹木や建物等を取り除く作業を行うと数値標高モデル(DEM)のデータができます。


(4)点検のポイント

航空レーザ測量の成果としてDSMのデータやDEMのデータの他、作成資料が提出されます。点検のポイントは次のとおりです。

  1. 「欠測率の点検」・・・作業規程の欠測率以内に収まっているか点検します。制限をオーバーした場合は、改善の可能性があるか、精度の低下に影響しないかを確認します。この点検は、航空レーザ計測終了後、速やかに行います。
  2. 「フィルタリングの点検」・・・DEMのデータでは樹木・建物等のフィルタリングが十分行われているか、また取り除き過ぎていないか点検します。この作業はパソコン上でビューアを使用して行うか、陰影段彩図を出力して行います。
  3. 「精度管理表等の点検」・・・提出された資料が作業規程に従い作成されているか点検します。

(5)公共測量の手続き

公共測量の手続きは、必ず行いましょう。

  • 公共測量の手続きを行わないと、公共測量の成果になりません。
  • 公共測量の成果として登録されないと、この成果を使用して他の公共測量を行うことができなくなります。
  • 公共測量の手続きを行うと、国土地理院の技術的助言が受けられます。
  • 公共測量の手続きには、費用がいりません。

詳しくは「公共測量」をご覧ください。


お問い合わせ先

 国土地理院 応用地理部応用地図課
  住所:〒305-0811 茨城県つくば市北郷一番
  TEL :029-864-6930
  FAX :029-864-6304
  Eメール:laser@gsi.go.jp

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